IPAでWinny事件

IPAの職員が情報を流出させた「事件」が発覚しました。多くのマスコミは「事故」としていますががこれは「事件」です。

(1)IPA
(2)WinnyとShare
(3)Antinny.BF
(4)私物パソコン
(5)IPAの情報流出
(6)以前勤務していた会社の情報詐取
(7)以前勤務していた会社の情報流出
(8)ATOK
(9)児童ポルノ

(1)IPA
こういう事案に真正面から取り組み、啓蒙し、排除するIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)という組織で行われたことに驚愕しました。
こういう事案では、組織か個人か、が問題になります。今回の事案は行為自体は個人のようですが、この個人が帰属するIPAという組織のことを考えれば組織の問題とすべきでしょう。

(2)WinnyとShare
以前私もP2Pについて研究していたので、ファイル交換ソフトとその仕組みを否定するつもりはなく、むしろ技術の進歩と普及を望みます。しかし、そこから派生したWinnyやShareに対するスタンスは違います。
WinnyやShareがどのような目的で利用されているかを考えれば、このソフトをセットアップしている段階でその理由を推し量ることが出来ます。IPAの職員ならなおさらです。

IPAはWinnyなどを排除する立場をもっと明確にすべきです。

(3)Antinny.BF
Winnyを使っていれば遅かれ早かれ感染するウィルスです。たとえ個人のパソコンとはいえ職員がウィルスの感染に無防備だったことはIPAとしては問題です。
ウィルス対策に無防備であることは、ウィルス感染により受ける被害が自分だけにとどまらずほかの人にも影響を与えるという認識が低いことを意味します。

(4)私物パソコン
自宅に仕事を持ち帰り私物パソコンで行う人がいます。情報の持ち出しとそのリスクを考えれば組織としては禁止すべきことです。

(a)組織の中([借用資産を含む]組織の資産であるコンピュータの中)に情報Aが作成される
(b)組織の人間の所有する私物パソコンに情報Aを複写して情報Bを作成する
(c)情報Bが組織外の第三者に閲覧された
(d)情報Bが組織外の第三者に複写されて情報Cが作成された
(e)情報Cが金銭目的で売買された

さて、どの段階で情報漏洩があったと考えるのでしょう
マスコミで事件として取り上げられるのは(e)です
マスコミが事故として扱うのが(d)であり、今回の事案です
多くの人は組織外の第三者というキーワードから(c)と考えるでしょう
私は、法的な問題よりも私物パソコンをキーワードに情報の「漏洩」は(b)と考えます
私物パソコンに組織に帰属する情報を入れた段階で情報の漏洩が始まったと考えるべきです。

(5)IPAの情報流出
実際、私物パソコンから組織として保有する機密情報が流出してしまった。IPAから流出した情報の多くは個人情報です。

一度流出した情報は現状復帰(無かった事に)できない

(6)以前勤務していた会社の情報詐取
以前勤務していた会社の重要情報を退職したこのIPAの職員が持っていました。しかも、不注意とか偶然ではかたづけられない内容です。

(a)情報を持ち出された会社にとって重要な情報(あるいは機密情報)であること
(b)特定の人には非常に価値のある情報であること
(c)在職中に「収集した」と思わせるような情報と情報量であること
(d)それを退職後も保持し続けていること

無断持ち出し、あるいは不正持ち出し、ということだと「想像」します。

(7)以前勤務していた会社の情報流出
そして、この機密情報も流出してしまいました。
情報を持ち出された会社は、自社の情報が漏洩したことによる被害者の立場と、一方で流出した情報で他社に迷惑をかけたという加害者的な立場と、今後の再発防止策に翻弄され苦悩する立場、に苛まれます。

一度流出した情報は現状復帰(無かった事に)できない

(8)ATOK
フリーソフトのダウンロードにWinnyを使ったと言っていますがIPAも承知しているようでATOKをダウンロードした(しようとした)形跡があったそうだ。
Winnyとはそういうソフトなのです。

(9)児童ポルノ
これは人権問題として徹底的に排除すべき問題です。日本はこの問題にあまりに無頓着であり、立法の不作為、行政の怠慢、司法の鈍感、を感じます。

一度流出した情報は現状復帰(無かった事に)できない

児童ポルノに係る者はすべて加害者である!
児童ポルノの被写体はすべて被害者である!
それは理由のいかんを問わない!

むしろ、IPAはこのような情報の流通を阻止し誤って流通してしまった情報を根絶する、そういう技術の開発と支援を積極的にすべき組織です。

今回のコメントは、IPAに対してかなりの苦言となっています。
 情報に対するこの程度の認識、
 まだWinnyなのかという落胆、
 こんなところにもある児童ポルノという社会悪、
いろいろな問題をはらむ象徴的な事件です

これを機会に
 ウォルスの感染するから
 個人の情報が漏れるから
 機密情報の漏洩に加担することになるから
そして、
 不正ダウンロードから卒業するために

一人でも多くの人がWinnyから決別することを期待します

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